2012年8月31日金曜日

健やかな秋を迎えるために

自然界では、様々な気候変化が起こり、その変化に人も絶えず影響されています。
東洋医学では、その変化を「風」「寒」「暑」「湿」「燥 」「火」の6種類に分類して、
それらが体に侵入しても、打ち勝ち健やかに過ごせるように、
食事も季節によって食材や調理方法を使い分けて、身体の調節を助けます。

例えば、前回お話ししたように、夏は暑さが身体に籠もることを防ぎ、
エネルギーの発散によって消耗した体力を補うような食事にし、
冬は寒さに負けないように、体を温める食べ物を食べます。

それでは、秋と夏の境目の今はどうしたらいいでしょう。

季節の変わり目は、これから来る環境変化に備えるために、
エネルギーを作り出そうと、消化器官(脾)の働きが活発になります。
ですから、ここで消化機能が低下していると、その対応ができず、
体調を崩す原因を作ってしまいます。
夏の間もお腹を弱らせないように、冷飲食を食べ過ぎないようにと、
前回お話したのは、そのためです。

おなかは冷、寒、湿が苦手です。
しかも、湿は冷、寒、熱とくっつきやすく、
一度入り込まれると、しつこく体内にこびりついて、除去するのに骨が折れます。

この時期は台風なども盛んに訪れるので、梅雨ほどでないにしろ湿も増えます。
しかも一番苦手な寒と一緒に増えるので、侵入を許すと大きく体調を崩してしまいがちです。
これがよく言われる「秋の大風邪」です。

大風邪をひかないためには、お腹を冷やさないのはもちろん、
次のようなものを食べると良いとされています。

⑴お腹の機能を促進させる食材。
  身体を温める性質があって、甘味のあるもの。:穀類、芋類、トウモロコシ、栗など
  甘いものは、お腹(脾)のエネルギーを高めるけれど、湿を溜めやすく胃を荒らすので、
  量に気をつけ、酸味と合わせないようにすることはが大切です。

⑵芳香性のある食品
    香りのあるものは、温性で、気の巡りをよくして食欲を誘い、
    湿を取り除く働きがあります。
    ジャスミン茶や、オレンジなどの香りをつけた紅茶などは、
    リラックス効果もあるので、よりオススメです。

⑶湿を流す食品
小豆、ハトムギ、大葉、にんにく、生姜、ねぎ、らっきょ、みかんなど。
利尿作用があり、むくんでいる人には特にオススメです。

まだまだ暑い日が続きそうですが、暦の上ではもう秋です。
夏の疲れが出始めている人も多いでしょう。
疲れを残して移行しないように、
無理をせず、次の季節を踏まえて生活をしましょう。



2012年8月25日土曜日

夏の食養生

毎日本当に暑いですね。
夏の終わりともなると、こう連日暑さが続くと、疲れが出てきて身体もバテ気味。

食欲も落ちてきて、ついサラダや果物に手がいっていしまいますよね。
確かに夏は、汗をかいたり心拍数が多くなり、
心機能が活発に動くので、心(心臓)に負担がかかります。
ですから、身体に籠もる熱を冷まして、心に栄養を補う必要があります。

基本的に、夏が旬の食べ物は大体、夏の暑さを冷ます作用を持っています。
たとえば、トマトやレタス、きゅうりなど、サラダの材料になる野菜や、スイカ、バナナ、メロンなどの熱帯地方の果物は、身体の熱をとり、夏の暑さの不快感を取り除いたり、身体を潤してくれます。
また、ニガウリやきゅうりは、熱を冷ますとともに、それによって生じた毒素を解毒してくれます。
だから、この時期にサラダや果物を欲しくなるのは、生理的に正しいことです。

しかし、今の生活は、冷房が普及し、冷蔵庫で食べ物を冷やすことができるので、
それらをあまりたくさん食べてしまうと、必要以上に身体を冷やしてしまいます。
身体を冷やす食べ物を食べると、消化器はダイレクトに刺激を受けるので、
機能が低下し、エネルギーを効率よく作ることができません。
すると、心に必要なエネルギーを供給できなくなってしまいます。

また、呼吸器は、温度や湿度の変化に敏感で、
外気はもちろんお腹の冷えにも敏感に反応します。

生体エネルギー(気)は、呼吸によって外気から得たエネルギーと、
消化吸収によって得た食物エネルギーと、
親から受け継いだ生まれながらに持つエネルギー(腎気)とを、あわせて作り上げます。

ですから、お腹と呼吸器の不具合でエネルギーが不足してしまうと、
その分生まれながらに持つエネルギーで補填しようとします。
生まれながらのエネルギーを消費することは、身体全体に負担をかけることになりますから、
それが何度も続くと身体全体が消耗して、「夏バテ」を引き起こしてしまいます。
ですから、それを予防しまた、養生するためには、
身体に必要以上の熱を溜めないようにしつつ、お腹と、呼吸器を滋養してあげる必要があります。

日本の夏は、もともと湿気が多いのですが、
最近は特に湿気と暑気が多い亜熱帯的な気候になっていますので、
湿気に弱いお腹と呼吸器は、更に気をつけなければなりません。

胃腸の働きを助ける食べ物は,穀類、肉類,イモ類など。
そして、暑さと湿気を取るのは,そばや、大麦、大根、緑豆です。
食べやすいからといって、身体を冷やす食べ物だけに偏らず、
これらの食材もバランスよく取り入れましょう。

また、東洋医学では、酸味は発汗を抑え、疲労を回復し、
塩味は心の機能を補うといわれています。
夏は汗をたくさんかいて水分と一緒にミネラルやビタミンも失われますので、
それらを補う意味でも、これらを補給することも大切です。

しかし、何よりも必要なのは、休養です。
疲れたらすぐ休んで、その都度コンディションを整えることが、
この厳しい残暑を乗り切る秘訣です。





2012年8月17日金曜日

備えあれば憂いなし・・・かもしれません。

こんにちは。
毎日暑い日が続きます。
皆さん、お腹の具合はいかがですか?
暑い日が続くと、体力も消耗するので、どうしても胃腸の機能が低下しがちです。
ふだん、なんでもないことでも、少し無理をするだけで、すぐお腹を壊してしまいます。
冷たいものも欲しくなりますが、ジュースも果物も・・・と、摂ってしまって、
お腹を冷やさないようにしましょね。

さて、私事ですが、先週夏休みをいただき旅行へ行ってきました。
久しぶりの旅行で、気持ちが浮き浮きしていたところで、階段から足を踏み外して、
口を階段で強打してしまいました。

歯はあまりの衝撃にジンジンするし、唇は歯が当たってバッサリ切れて大出血。
かなり大きく深く切れていて、対応してくれたスタッフの方にも、
「縫ったほうがいいから、病院にいこう。」と言われたのですが、
見知らぬ土地で(しかも、言葉が通じないし)、
歯医者に受診するのも、唇を縫うのはいやだったので、
丁重にお断りして、とにかく傷口を冷やし、圧迫して止血をしました。

場所が柔らかく、動く場所なだけに、内心傷がちゃんとくっつくのか心配でしたが、
氷で冷やしながら、持っていたエレン水(うちの鍼灸院に来ている方はわかると思いますが、あの、石の入った水です)をとにかくかけたり、ティッシュに浸して湿布しながら止血すると、
1時間もしないうちに血が止まり、傷口もふさがってきました。
外傷による炎症も強く出てきそうなので、ハーブのエルダーも飲みました。(抗炎症作用があります)

おかげで、そんなに腫れることもなく、夜にはすっかり傷もふさがり、食事もとることができました。
翌朝、まだ少し腫れましたが、エルダーを飲むとそれも少しずつ引いて、
1週間たった今、もう傷はすっかりきれいになりました。

備えあれば憂いなし。
「持っていて良かった。」と心から思う一件でした。
あ、もちろん、怪我をしないようにすることが一番大切なんですけどね。

私の場合は、自分で何とかできる範囲の怪我でしたが、
自分では対処仕切れないと思う場合は、お医者さんにかかってくださいね。

2012年8月3日金曜日

日本全国、睡眠不足ですが・・・

こんにちは。
毎日うだるような暑さが続きますが、みなさん元気に夏を過ごしていますか?
毎晩オリンピックも、熱い試合が繰り広げられていて、寝不足になっている人も多いでしょう。
かく言う私も、その一人で、反省、反省。

時差があるとはいえ、毎晩、深夜2時3時というのはこたえます。
翌朝、頭がボーっとしたり、肩こりがひどくなったり、胃腸の調子が悪かったり。
肌の張りがなくて、むくんでしまったり・・・なんてこと、ありませんか?

実際、身体がつらくて、応援をやめて睡眠をとったら、翌日の肌の張りのいいこと!
なんとなく2~3歳若返った気分。
睡眠不足の悪影響をつくづく感じました。

人間は本来、昼間活動するようにできていています。
東洋医学の考えでは、昼間は活動できるように血が全身を巡って、
各器官に栄養やエネルギーを運んで潤しています。
しかし、夜になると、休息期になり、血は、肝(肝臓)に戻り、
全身を巡ってエネルギーと交換してきた老廃物や毒素を解毒して浄化し、
新しいエネルギーや栄養を取り込み、翌日また身体を動かすための準備をします。

その間に、津液という体液が、活動して興奮した各器官を鎮めて、
疲労を回復させたり、不具合を調整して、身体のメンテナンスをします。

しかし、夜遅くまで起きていて、こんな風に応援に興奮させてしまうと、
血も津液も、本来の動きをすることができず、
結局翌日、血は、栄養不足のまま全身を巡らなければなりません。
また、メンテナンスをして、リフレッシュするはずの各器官も、
メンテナンス不足のまま翌日の活動をはじめることになります。

またこの夏は、ご存知のように猛暑で、私たちは毎日厳しい暑さに身体を晒しています。
35℃以上で高湿度の酷暑に、何日も耐えているということは、
それだけの長時間、サウナに入っているのと同じことですから、
身体の負担は、相当なものです。

ですから、この時期はなお更、毎晩きちんと睡眠をとって、
しっかりと身体のメンテナンスをしていかないと、
負担がどんどん蓄積され、暑さに耐えていくことができません。
また、秋や冬になるときに、身体がその変化についていけず、
身体を大きく崩してしまう危険性があります。

がんばる選手を応援したいけれど、まずは、自分の身体が大切です。
くれぐれも無理は禁物。
きちんと睡眠をとり、すっきりした身体で夏を乗り切りましょう。