春うららです。
気がつけばもう5月の陽気なんだと、天気予報が言っていました。
突然やってきた春に、桜の花は慌てて咲いて、
開花したかと思ったらすぐに満開に。
桜の花は、蕾から開花までの時間が短いと、花の色が薄くなるそうで、
そう言えば、今年の桜はいつもより白い感じがします。さて、急にやってきた春に翻弄されるのは、桜だけではありません。
毎年のことではありますが、暖かくなったと言っても、まだ朝晩は冷える毎日。
花冷えという言葉もあるように、急に冷え込む日もあります。
今週はまた冬の陽気に逆戻りだそうで、急激な気温変化には身体もびっくりです。
冬の間は毛穴がぎゅっと締り、風や冷えを防御していますが、
暖かくなると身体の緩みとともに毛穴も開き始めます。
でもこの時期は、身体はまだ春仕様になったばかりで、
毛穴も急激な寒暖に対応しきれません。
身体の中に侵入して悪さをする「風」を「風邪(ふうじゃ)」と言うのは、
前にもお話しましたが、
「春一番」と呼ばれる風があるように、春は風がよく吹きます。
春の風は、暖気と寒気を両方含んでいますから、このような風が吹くと、その両方が身体の中に侵入し、
しかもその風は暴れん坊ですから、
身体の中を吹き回って、至る所に痛みや不具合を生じさせます。
悪寒を感じ、風邪を引いたり、
筋肉をひきつらせて、こむらがえりや、ぎっくり腰、寝違えなどを起こすのも、
この風邪のいたずらです。
春に動き出すのは臓器は「肝」(肝臓)です。
「肝」は、血の生成や分配を司るところで、
冬の休息期だった身体を活動期に代えるために、
「肝」は一生懸命血を全身に巡らせなければなりません。
興奮しやすく、すぐ暴走します。
しかも、抑えつけられるのがキライなので、ガマンを強要されたりすると爆発します。
「肝」の興奮は、そのまま身体や感情の興奮にもつながりますから、
春は浮かれたり、イライラしたり、とても忙しいのです。
先ほどの「春の風」が侵入すると、それを煽ってしまうので、
「肝」は暴走して、多量に血を送り出し、
急に血の気が多くなった場所に痛みを引き起こします。
頭はたくさんの血を必要とするので、特に痛みを引き起こしやすい場所と言えるでしょう。
身体の中で一番血の分配量が多いのは頭です。
ですから、「肝」が興奮して、多量の血を一気に送ると、血管を圧迫して頭痛を引き起こします。
また、風邪が冷気をつれてくると、急に血管が収縮して重痛を起こしたりもします。
(よく氷を食べた時に起こったりする、あの痛みです。)
胃は、消化するときにたくさんのエネルギーが必要なので、たくさんの血を分配されます。
ですから、血が分配されるほどにたくさんの胃液分泌を促すので、
「肝」が興奮して、必要以上の血が巡ってくると、
過食になったり、胃酸過多で胸やけを起こしやすくなったりします。
また、血が全身に運ぶ「栄養」は、「脾」(おなか)で作ります。
「脾」は、「肝」の命令により、血に栄養を載せて身体中に栄養を送ります。
春は活動期に入った身体を動かすために、「脾」もフルに動くので、
「肝」の興奮が昂ぶると、「脾」はそれに振り回されて、疲れ果ててしまいます。
冬に溜まった毒素をデトックスすることも重なり、
おなかが痛くなったり下痢をしやすくなります。
ですから、春は腹七分目くらいにして、おなかに負担をかけないようにしましょう。
おなかが健やかならば、十分な栄養を効率よく運ぶことができるので、
「肝」が暴走しようとしてもそれを抑えることができます。
心も身体もつい、うきうきしてしまう春ですが、
それと同じだけ、具合の悪くなる季節でもあります。
ちょっと意識をして、健やかな春を過ごしましょう。