2012年1月27日金曜日

インフルエンザに罹ってしまったら。


年明けから、少しずつインフルエンザの声を聞き、
先週あたりから、急激にインフルエンザが猛威をふるい始めました。
今流行しているのは、香港A型。
ウイルスが粘膜で増殖するためにすぐ全身に広がるので、
潜伏期間が短く感染力が強いのが特徴です。
症状は、発熱(38~40℃)、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感などの全身症状と、
のどの痛み、咳、痰などの呼吸器の急性症状がみられます。
お腹の症状は、あまりみられません。
特に粘膜で増殖するため感染しやすく、呼吸器系の症状が出て、細菌性の肺炎を併発しやすいです。
また、高熱を出しやすいので、子どもの場合は脳炎や髄膜炎にも気をつけなければなりません。
またA型ウイルスは形を変えやすく、広がっていくうちに、症状なども微妙に変わってきます。

病院に行くと、タミフルもしくはリレンザ、
今年はイナビルと言う抗インフルエンザウイルス剤が処方されるようです。
あとは対処法として、解熱鎮痛剤、去痰剤、咳止めなどを処方されるのが一般的です。
薬の副作用などで胃炎や下痢を起こすことがあるので、胃腸薬を処方されることもあります。

抗インフルエンザウイルス剤は投与すると確かに良く効きますが、副作用も多く、
それぞれの薬の特性を知って、選択することが必要だと思います。
ただ、一度飲んだら、途中でやめることはせず、しっかり飲み切りましょう。
自己判断は、却って症状を悪化させます。

タミフルは一番ポピュラーですが、「
10代の子供の異常行動を引き起こすことがある」といわれていて、
10代への投与は避けるべきだと思うのですが、
巷の病院では、よく処方されているようです。乳幼児では警鐘はされていません。

新しく出たイナビルは、一回の吸入だけでいいので便利ですが、
タミフル同様10代の子供の異常行動については、安全が確立されていません。
臨床実験データーでは何件かみられたようなので、
10代の子供にはリレンザの方が安全と言えます。

ただ、リレンザは吸入薬で直接呼吸器に作用するため、
副作用に呼吸困難、胸苦しさなどがあげられていて、
気管支喘息や呼吸器疾患のある方は、注意が必要です。

どうしてもタミフル、イナビルを10代の子供に投与する場合は、最低2日間は観察が必要です。

それから、妊婦に対しては、有効性がリスクを上まわる場合のみ、投与。
授乳中のおかあさんは、服用する場合はいずれも、服用中は授乳をストップさせること。
抗インフルエンザウイルス剤は、思いのほか強い薬なのです。

また、タミフルは香港A型には効きますが、
ソ連A型は、タミフルの耐性ができていて効きにくいとされています。
現在は香港A型が主流ですが、場所により、ソ連A型が流行っている地区もあるようです。

最近、麻黄湯がタミフル級にインフルエンザに効くとテレビで報道があって、
問い合わせや、処方の要望が殺到しているそうです。
漢方なら副作用も少なくて、安心と思われがちですが、そうではありません。
麻黄湯は、漢方の中でも強い薬です。
飲み方を気をつけないと、危険を伴いますから、
タミフルを投与するのが怖いからと言って、
代わりに麻黄湯を子供に投与すると言うようなことは避けてくださいね。

では、麻黄湯都はどんな薬なのか、ちょっとお話ししますね。

麻黄湯は、麻黄、桂枝、甘草、杏仁の4つの生薬から構成されています。
麻黄と桂枝は、解熱の為の発汗作用を強め、
発熱の随伴症状として出る、悪寒、震え、頭痛、身体痛などを緩和します。
杏仁は、去痰、鎮咳、
甘草は、麻黄、桂枝の強い発汗作用を抑制させ、発汗過多を防ぎ、粘膜を保護します。

発汗は体力の消耗を伴うので、幼児や高齢者、虚弱体質、
胃腸の弱い人、汗をよくかく人には処方できません。
また、循環器系、腎臓病、甲状腺機能亢進症などの既往のある人もお勧めできません。
また、健康な人でも、無汗で、悪寒、頭痛、身体痛が出る
インフルエンザ初期の症状の人のみ有効です。

やたらに飲むと、発汗過多による、全身虚脱、食欲不振、動悸、痙攣等
また、胃腸症状として、悪心、嘔吐などや、
腎臓障害として血圧上昇、むくみなどもでやすくなります。

ともかく、A型の特徴は、呼吸器系の症状が出やすいことです。
熱やら咳やらで、苦しんでいる姿を見ると、症状を取り除いてあげたくなりますが、
発熱や、喉の腫れは、ウイルスや細菌を駆除するための生体の防御システムです。
薬はあくまで、これらの生体の防御システムを助けるものでなくてはならないと思います。
むやみに解熱剤などを飲んで無理に止めてしまうと、
病気そのものの治癒を却って送らせてしまうこともあります。
服用は慎重にするべきだと思います。

しかし、薬を飲まずに、症状のひどいインフルエンザをやり過ごすのも不安でしょう。
そんな時は、前にも書きましたが、エキナセアがお勧めです。
もう飲まれている方は、予防の場合は1日1粒、感染したかもしれない時は、2~3粒、
罹ってしまったら、一回3粒を朝昼晩と飲むのがお勧めです。
エキナセアは食品なので、飲み過ぎて副作用を起こすことはありませんが、
やたらたくさん飲んでもお小水で流れてしまいますから、多くても1回3粒程度がいいでしょう。

後は、とにかく安静にして休むことです。
発熱は水分を予想以上に消費します。お小水の量に気をつけて。
お小水は、脱水しているかどうかのバロメーターです。
OSー1(経口補水液:軽度から中等度の脱水状態の方の水・電解質を補給・維持するの
適した病者用食品。ドラッグストアに売っています)
もしくは、アルカリイオン水(ポカリスエットなど)を倍薄目したもに、
塩をほんの少し入れて与えてください。
このとき、冷たい水でなく、お湯などで常温以上にして与えることが秘訣です。
食欲がなければ無理に食べさせない。
いくら食べやすいと言っても、アイスクリームなどの冷たいものを与えないでください。
胃腸の弱りは、回復を弱めます。

2012年1月20日金曜日

鼻水、鼻づまりのこと

私たちは普通、鼻を使って呼吸します。
外の冷たい空気が鼻に入り、外気とともに入ってきた
塵や埃、細菌やウイルスなどを鼻毛や鼻の粘膜によって除去し、
鼻腔で適当な湿度と温度に調整されてから肺に入れられます。
しかし、鼻の粘膜の中にウイルスが侵入し、増殖してしまうと、次のようなことが身体の中で起こります。

肥満細胞と言う細胞の一種からヒスタミンという化学伝達物質が過剰に分泌されます。
これをうけて鼻粘膜の血管が広がり、血流が加速し、

 ウイルスをやっつけるための多くの血液を送ろうとします。
そして鼻粘膜組織も腫れ、鼻の通りを悪くし、ウイルスの更なる侵入を防ごうとします。
さらに、鼻腺からの粘液の分泌量が増加し、ウイルスなどの異物を排出しようとします。
これでもだめだったときは、鼻粘膜の知覚神経を経て、

 脳のくしゃみ中枢からのどや胸の筋肉などの呼吸器筋に指令が出され、くしゃみを起こします。

要するに、鼻水、鼻づまり、くしゃみは、いずれも身体をウイルスから守るための正常な防衛反応です。
しかし大量の異物(花粉とか、ハウスダストなど)と接触すると、
その防衛反応が過剰に働いてしまうことがあります。

花粉症状が出ると、鼻水の大量分泌によりティッシュから手が離せなかったり、
連発するくしゃみや、過剰に反応した粘膜から鼻腔がむくんで息ができなくなる。
すると、頭痛なども起こりやすくなり、気分的にも鬱屈してしまって
、その期間は毎日が本当に苦しいですよね。

今年はもうすでにスギ花粉が飛んでいると耳にします。
本格的に症状が出る前に予防策をとることが大切です。
今、さまざまな予防薬もでていますが、長い期間薬を飲まなくてはならないので、
身体の負担を考えると、副作用のないハーブもお勧めです。
柔らかく身体に作用して、症状を緩和してくれます。

お勧めハーブは、
  ネトル:抗アレルギー作用があり、花粉症、ジンマシン、体内浄化、体質改善に効果があります。
  ネイザルサポート:複数のハーブをブレンドすることで、高い抗アレルギー作用があります。
                   ネトルでは効果が得られない強いアレルギーに効果があります。
ネトルアイブライト:ネトルとアイブライトのブレンド。
                           液体なので、カプセルの苦手な方や、お子様に、緩やかに作用します。

ただの鼻かぜのときは
● リコリス:即効性の抗炎症作用があり、粘膜保護作用、去痰作用もあります。
 アイブライト:抗炎症作用、収れん作用があり、眼病の収れん、目や鼻の炎症作用に効果があります。
 エキナセア:抗ウイルス作用、抗菌作用を高め感染を抑制します。
          免疫力を高め抵抗力をつけたいとき、中耳炎や外耳炎、
          気管支炎、扁桃炎の初期症状の緩和、風邪の予防にも効果があります。

でも、いくら予防するものを服用しても、症状の出る原因が解消されなくては、
いたちごっこのように症状を繰り返してしまいます。
ハーブなどは、あくまでも補助的なもので、
大切なのは自分の力でちゃんと身体を立ち上げることです。

外に出る時は鼻や目やのどをマスクなどでブロックし、
鼻の粘膜にウイルスや細菌がついて繁殖するのを防ぎ、
冷えると身体のバランスが崩れやすくなるので、
季節の変わり目にアレルギーがでやすくなります。
お腹を中心に身体を冷えから守り、水分を十分取りましょう。
また白砂糖やカロリーの高い食べ物、アルコール、刺激物は、
アレルギーを助長させるので避けましょう。

2012年1月13日金曜日

「げいこう」のはなし

昨日から、突然の寒波で、ここ東京も今年一番の寒さ。
バケツの水も凍り、日比谷公園の噴水もつららになり、大寒近くなると、やはり寒さも厳しくなりますね。
みなさん、お加減はいかがですか?

お正月に患者さんからたくさんの年賀状を頂きました。
本当にありがたい限りです。
その中でかわいい患者さんからの一言。

「げいこうがすきです。」
その一言に、治療院中で笑いました。

げいこう。
漢字で書くと、「迎香」と言うツボのことです。
うちではとても人気のツボで(笑)、鼻やのどの症状のある患者さんによくお灸をします。

鼻翼のすぐ外側にあるツボなので、うまく呼吸しないと煙を吸って鼻が痛くなるし、
顔と言うこともあり、最初はみなさん「ぎょっ」とするみたいですけど、
本当によく効くツボで、お灸をするとすぐに呼吸が楽になるので、
よくやる患者さんには、リクエスされたりします。

事に子供の患者さんは、最初は大泣きで大暴れされることもありますが、
とても鼻が楽になるようで、すぐにツボを覚えて、「げいこうおねがいします」とかわいい声でリクエストしてくれます。

さて、そんなうちの治療院で1,2を争う人気のツボですが、一体どんな意味があるのでしょう。
ツボの辞典を紐ときますと、迎香というのは、字のごとく
「香りを迎える。-鼻づまりで臭いを嗅ぎとれないものを治療する。」と言う意味です。

鼻づまりの原因は鼻腔の炎症によるむくみです。
迎香に刺激を与えると、鼻腔のむくみがとれるので、鼻が通りやすくなります。
また鼻腔と喉は繋がっているので、喉の症状や痰の絡みによる咳などの症状にも有効です。
また、副鼻腔炎などによる頭痛にもよく効きます。

でも、自分ではなかなか、ここにお灸をするのは難しいでしょう。
そんな時は、ここをギュッと押してみてください。
どうしても鼻水を止めたい時、止まりますよ。
鼻が詰まってボーっとしたときも、鼻が通ります。
でも、原因を解消させなければ、すぐに症状は戻ってしまいますけど・・・。
対処療法として、応急処置にはなります。

                     

2012年1月6日金曜日

七草がゆ



あけましておめでとうございます。
今年も、よろしくお願いします。

明日は1月7日。
お正月気分も終わり、今朝は七草がゆを作って食べた方も多いのではないでしょうか?
七草がゆ。
お正月のおせちやご馳走で弱ってきた胃腸を整えるために食べると言われていますが、
七草には、一体どんな効能があるのでしょう?

セリ:解熱、健胃、整腸、去痰、肝臓の回復、降圧作用がある。
ナズナ:解熱、利尿作用がある。肝臓の回復にも。
ゴギョウ:去痰、咳に効果があり、気管支炎や扁桃腺炎の予防にも。
ハコベ(ラ):歯槽膿漏に効果がある。
ホトケノザ:解熱、解毒作用
スズナ(カブ):七草では小カブの葉を使う。利尿、便秘に効果。心の安定、
          そばかす、ひびやあかぎれ予防。ミネラルが豊富。
スズシロ(ダイコン):小型のネズミ大根を使う。食欲増進、利尿作用

七草は、その辺に生えている雑草の仲間で、西洋的に言えば「ハーブ」。
ビタミンが豊富で、さまざまな効能があります。
また、冬の寒さにも打ち勝って生息する強い生命力をもち、
それを食することによって邪気を払い、その年の無病息災を願います。

中国では昔から「医食同源」の思想があり、食を通じて健康面を気をつける習慣が根付いています。
七草に限らず、食べ物は全て身体を動かすための原動力となります。
昔ながらの伝統を受け継ぎながら、私たちも、無意識に食事をするのではなく、
食物が身体にどんな働きをするか考えてみることが大切だと思います。