2013年10月25日金曜日

ある日の病院にて。

秋が深まりつつも、季節はずれの台風が往来して、
今週も荒れ模様。
中国からは、PM2.5も大量飛来するし、
ブタ草も地味に大繁殖で、身体も夏からずっと翻弄され続けています。
これもあれも、地球温暖化のせいなのか?
過酷になる環境に耐え抜く、元気な身体が欲しいです。

さて、そうこうしつつも暦は流れ、
気がつけばもうそこに冬が近づいていて、アレの話題が出始めました。
アレ。インフルエンザ。

先日、市の定期健診を受けるため、病院を訪れたときのことでした。
受付に、書類と保険証を出したところ、
受付の看護婦さんが、にこやかな顔で、

「インフルエンザのワクチンが入荷したので、予防接種ができるようになりましたが、
今日は打たれていかれますか?」

「・・・は?」

それは、マッ○などで、
「ただいま期間限定で○○バーガーを発売しておりますがご一緒に、いかがですか?」
とかいわれているのに近い感覚で、一瞬何を勧められているのかわかりませんでした。

「・・・えっと、いいです。」
「よろしいんですか?」

「あ、すみません。いいです。」

断ったら、逆に「え?」って言う顔をされて、驚きました。

その後も受付をなんとなしに眺めていると、
来る患者さん来る患者さんに、同じように予防接種を勧めていて、
なんだか変な気分になりました。

この病院は、別に営利目的の強い病院ではありません。
どちらかというと、とても親切で細かい気配りをしてくれる
(ちょっとしつこいくらい(笑))の良心的な病院なんですね。
だから、もちろんこれも、親切に勧めてくれているんだとは思うんですが・・・。

予防接種って、病気を予防する便利なアイテムなんですが、
にんじん買いに行ったら、ジャガイモが安かったのでついでに・・・みたいに、
何かのついでに手軽に受けるものじゃないと思うんですよね。

ワクチンというのは、無毒化もしくは弱毒化されてはいるけれど、
病原菌そのものなんです。
それを身体に入れるんですから、少なからず身体に負担がかかります。

風邪気味だったり、寝不足だったりして体調が悪ければ、
その毒に負けて逆に感染することもあります。
そして、インフルエンザに関しては、ウイルスが当たる確立は40%程度と言われ、
当たっても、時間の経過とともにウイルスの形も変わるので、
たとえ流行ったウイルスの型が当たっても、ワクチンが予防する確立は、更に低くなります。

私たちの立場からすると、それよりも、病気に打ち勝つ力を身体につけるように、
養生することのほうがよっぽど大切だと思うのですが、
みなそれぞれ考え方も違うし、事情がもさまざまですから、
どれが正解なのか誰にも言えません。

ですから、受けることのメリット、デメリット
自分の受ける予防接種がいったいどんなものなのか、
ちゃんと理解して納得した上で、
自分の体調を見極め、
自分の意思で受けることが大切だと思います。

あなたの命です。
誰も責任は取ってくれませんから、
自分の命は自分で守りたいですよね。










2013年10月18日金曜日

秋は物悲しいものなのです。

10年に1度の台風と呼ばれた台風26号が、さまざまなところに爪痕を残して去り、
来週また、次の台風がやってくるとの報道に、
10月ももう後半なのに、いったいいつまでこんな調子なのか?と、
心配になってきます。

地球温暖化の影響なのか、確実に四季の仕組みが変わりつつあることに、
得体の知れない不安を感じます。

さて、四季ですが、東洋医学は、春夏秋冬に長夏(夏と秋の間)を入れて
5つに分けて季節を見ています。
そしてその5つの季節ごとに、移り変わる自然や身体の仕組みを理論付けて、
治療や養生の元にしています。


たとえば、春に不安定になるのは肝臓、夏は心臓、
長夏は脾(おなか)、秋は肺、冬は腎とされています。

それは、身体だけでなく、心の状態も5つで表していて、
春は怒り、夏は喜び、長夏は思い悩む、秋は悲しみ、
冬は恐れの気持ちになりやすいと言われています。

東洋医学は、イメージです。
少し乱暴な言い方ですが、世界はひとつの流れの中にあり、
その流れに沿って、全てのものが成り立っています。

暖かくなれば、心も身体も活発になるし、寒くなれば、縮こまったりしますよね。
活動すれば疲れるし、疲れたら休みます。
そしてまた、疲れが取れたら元気なる。
これは、人だけでなく、自然界全てに言えることです。
ですから、季節のイメージに対して、つながる臓器や気持ちも、
なんとなくわかるような気がしませんか?

さて、今は秋。
うきうきわくわくで、キャーキャー騒いでいた夏も終わり、
しっとりとして、落ち着いた雰囲気になってきます。
なんとなく物悲しいような、人恋しいような、そんな気持ち。

夏の疲れで、けだるくなって、プラス思考からマイナス思考になりがちですが、
これも全て自然の流れといえるのです。
なんとなくメローになって、自然と涙が流れるのは、
心もデトックスしたいのかもしれません。

こういう気持ちになるのを、またマイナスに考えたり、
こっそりと内に秘めておいたりせずに、こんな時は素直に涙を流したり、
恥ずかしがらずに外に出すのが一番です。

これから来る冬は、休息期間。
その前の秋は、それを準備する期間です。
人は冬眠はしませんが、たとえるなら冬眠前のクマのような状態です。
心も身体も厳しい季節に備えて、エネルギーを溜め込もうとしています。

マイナスのものを身体に溜めて置くのは、身体にいいわけがありません。
夏の間せっせと動いた心と身体の疲れを、この秋のうちに発散させて、
いいエネルギーだけを身体に貯めて、冬という休息期間を過ごしましょう。
そしてまた、新しい年の春を元気に迎えるために。

2013年10月11日金曜日

秋刀魚と秋の食養生

ー秋刀魚、秋刀魚、秋刀魚は苦いかしょっぱいか。

秋の味覚秋刀魚。
今年は少し漁獲量が減って、価格もお高めですが、
それでもやっぱり、秋は秋刀魚が食べたくなります。

今が旬の秋刀魚は、コンロで焼くと炎が出るほど、脂が乗っていて、
大根おろしを絡めて食べると、舌も心もほっこり綻びますよね。

さて、前回お話したとおり、秋は乾燥が強くなり、肺の機能が不安定になるときです。

肺は、呼吸することによって、全身に「気」を巡らせ、
血の流れや水分代謝を促す働きを持っています。

でも、鼻を通じて外気と直接触れる臓器ですから、
環境の変化にとても敏感です。
ですから、乾燥から守っていつでも潤しておく必要があります。
それには、身体を温め、肺に潤いを持たせて、
肺の気(エネルギー)を補ってあげることが大切です。

さて、秋刀魚に話を戻しましょう。
秋刀魚などの青魚は、甘味で、温性の性質を持っています。

甘味は、疲れを改善して、体の弱ったところを補い、痛みなどを和らげ、
温性は、身体を温め、痛みを和らげ、気血の循環を促す働きがあります。
そして、どちらの性質も穏やかに身体に作用します。

また、秋刀魚はEPAやDHAが豊富なので、中性脂肪を減少させ、動脈硬化を防ぎ、
脳の発育と働きを維持するのに効果があります。

そして、付け合せの大根おろしは、消化を促進して、解毒する作用があります。
秋刀魚などの青魚は、身体にいいとはいえ、脂が多く強いのですが、
大根おろしは、それを中和して、刺激を和らげます。

また、焼き魚のこげなどには、発がん性物質も含まれたりしますが、
それらも解毒してくれます。

なによりも、大根の辛味は肺にとてもいい作用をするので、肺を養うのにとてもいい食材です。
胸苦しさを解消し、上に上がった気を下ろしてくれるので、
除痰、吐血、鼻血の止血、のぼせなどにも効果があります。

秋の味覚を楽しみながら、身体を養って、
おいしく楽しく秋を過ごしましょう。

2013年10月4日金曜日

風邪のいたずらにご注意! 

10月になりました。どこからか、甘い金木犀の薫りを風が運んできて、
本当に秋が来たなって実感します。
太陽の日差しに、まだ暑いと感じることもありますが、
肌を撫でて行くヒンヤリとした風に、思わず皮膚に力が入ったりします。

え?気持ち良くて力なんて入らない?
あらあら、それは気をつけないといけませんね。
夏の厳しい暑さに、体も辟易していますから、涼しい風に心地よさを感じて、
ホッとしたくなる気持ちもわかりますが、
この時期、この心地よさに体を緩めてしまうと、容易に風の侵入を許してしまいます。

風。
東洋医学では「風邪(フウジャ)」と呼びます。
字でわかるように、風邪は「風邪(フウジャ)」が原因で起こる症状です。

外気に直接触れる皮膚は、冷たい空気に触れると毛穴を引き締め、
この「風邪」が体に侵入しないように守っています。

しかし、冒頭のように体を緩めてしまうと、毛穴も開きっぱなしになってしまい、
この「風邪」が身体を吹き抜けてしまいます。

「風邪」は、吹く風と同じように動き回る性質があり、
身体のあちこちを移動しては、いたずらをします。
急にやってきては、筋肉や臓器を驚かせるので、
筋肉が引き攣れたり、突然お腹が痛くなったりしてしまいます。

首や肩の筋違い、ぎっくり腰、顔面麻痺など、特に思い当たる節がないのに起こる急性の痛みは、
そんな風邪のいたずらであることが多いのです。
ですから、東洋医学では、こういう急性症状は風邪と同じ部類に入ります。

とはいえ、意識して毛穴の開閉を行うことはなかなかできません。
しかも、今の時期はまだまだ暑い日もあり、夏の名残も身体に残っているので、
急激な気温の変化などについていくことができません。

ですから、薄めのものでもいいですから、
襟のあるシャツやスカーフなどで首元を風に直接当たらないように守りましょう。
また、手首、足首、くびれ(ちょっと苦しいかな?)など、
「くび」と名のつく場所は、「風邪」の入りやすい場所ですから、
下着はしっかりお腹を包み込むものにして、すそを出しっぱなしにしない。
袖はなるべく詰ったものにする。
靴下やレッグウォーマーで足首を保護する。
などの防御をして、風邪の侵入を防ぎましょう。

お風呂にはいった後、最後に肘から下、膝から下に、それから顔に、
さっと冷水をかけるのもおススメです。

自律神経を刺激して、末端の循環を促しますから、
身体全体の流れも良くなり、免疫力も高まります。
冷え性解消にも効果的です。
まだ暖かい今からはじめるのが最適な養生法です。是非。