先日、患者さんから「韓流の時代劇を見ていたら、認知症疑いの王様に葛根を内緒で食べさせて
判定させていたんだけど、葛根湯飲むと、認知症が進行するんですか?」と聞かれました。
確かに、そのドラマは見たことがあって、私も「え?」と思った記憶があったんですよね。
自分がよく使っている薬が、認知症を助長するなんて聞いたらびっくりしてしまいますよね。
「いつも飲んでいるから、私も痴呆症になったりしないかしら?」
ご心配はごもっとも。
でも実際、葛根湯にそんな効能(副作用?)があるなんて聞いたことないし、
どこにも書いていない。
どこにも書いていない。
どういうことなのかと調べてみると、他にも結構たくさん同じ疑問を持った人がいて笑ってしまいました。
で、そんな人たちの意見などを読みながら、どういうことなのかと鍼灸院で考えてみました。
葛根湯は、身体を温め発汗を促し、体表にとどまっている邪(ここでは風邪ウィルス)を体外に出します。
ですから、悪寒があり、項が硬直するような風邪の引き始めの場合に有効です。
汗を掻くのは予想以上に体力を消耗し、元々体力のない人がたくさん汗を掻くととても疲れてしまいます。
発汗は、心と腎の機能ととても関係が深く、発汗が甚だしいと、心と腎に多大な負担を掛けてしまいます。
心の機能とは、西洋医学で言えば心臓ですが、東洋医学では、血液循環の他に、精神活動(脳の活動)を司っているとされ、また、腎は西洋医学で言うと腎臓で、東洋医学では身体の中の水分の管理をするほかに、生まれながらに持っている気(生体エネルギー)を管理していて、老化と深いかかわりがあります。
痴呆の原因はさまざまで、今ここで限定することはできませんが、痴呆はこのふたつの機能の不足や不具合があると、起こりやすくなると言えます。
ですからそんな状態の人に、葛根湯で発汗を促された場合、この心と腎のエネルギーを消耗してしまうので、確かに認知症を助長してしまうかもしれません。
でも、これはあくまでも一つの可能性です。
ドラマはドラマ性を求めなくてはいけないので、根拠はあっても、それを一部分が誇張して作られるので、誤解が生じてしまうようです。
しかし、症状に合わない薬を飲めば、身体に悪影響を及ぼすというのは変わりありません。
日本では風邪と言えば葛根湯というくらいよく使われますが、どんな風邪でも効くわけではありません。
最初に書いたとおり、悪寒や鼻水、頚肩のこわばりを伴う風邪のひき始めに有効です。
身体を温める効果のある薬ですから、熱風邪には逆効果です。
身体を温める効果のある薬ですから、熱風邪には逆効果です。
単に風邪と言っても、人それぞれ症状は様々で、経過によっても変わります。
葛根湯に限らず、万病に効く薬はありません。
安易に薬に頼りすぎないで、その時々の様子に合わせてどんな薬がいいのかよく考えて飲みましょう。
熱出てたらだめなんですね@@
返信削除熱ある人にも処方しちゃいけないのか・・?
風邪っぽかったら→葛根湯・エキナセア・抗生物質、とりあえず自分の時は全部飲む。たいてい治るけど・・どれが効いたかはわからない・・それでも治らなかったら伺いますw
コメに気づかずすみません。
返信削除葛根湯はあくまでも風邪の初期症状です。
熱の出始めで悪寒がある時や、後頭部や首肩がこる時には効きますが、
熱ができってしまった後や、体力がなく微熱出ぐずぐずしているようなときには効きません。かえって逆効果の場合もあります。
葛根湯も、エキナセアも、抗生物質も、風邪症状から脱出するためのひとつの手段ですが、同時に使ってしまうと相殺してしまうこともあります。
それで治る時は、逆に言えば全く飲まなくても自力で治るくらいの体力があると言えるでしょう。
むやみに薬を飲むと、肝臓に負担をかけますから、今は大丈夫でも、少しずつ肝臓を傷つけてしまって、大事な時に踏ん張りが利かなくなってしまうのはつまらないですよ。