2014年12月19日金曜日

今年の冬至は朔旦冬至です。

爆弾寒波の襲来で、日本列島が真っ白になりそうなほどあちこちで大雪が降りました。
東京近辺は運よく雪はそれたけど、大雪に見舞われた地方の方々は大丈夫でしょうか?
雪は降らずとも、東京も昨日今日と氷点下を記録して、
いよいよ冬も本番です。


暦でも、今年は12月22日が冬至。
スーパーや八百屋さんで、カボチャやゆずが店頭にたくさん並んでいます。


今年の冬至は19年に一度のレアな「朔旦冬至(さくたんとうじ)」だそうです。
冬至というのは、1年で一番昼間の短い日なのは周知の事実ですが、
かつては1年の始まりという意味でした。


冬の太陽はとても低く、地面にできる影もとても長くなります。
まだ時を刻むものが日時計だけだった時代、
1年で一番影が長い日を「冬至」とし、一番影が短い日を「夏至」とし、
それをもとに暦が作られました。


東洋医学では、すべての物事は「陰と陽(マイナスとプラス)」で表され、
それらはお互いにバランスを取って成り立っているといわれています。


太陽は暖かい陽気(プラスのエネルギー)を地球上に降り注いでいます。
一年で一番低い「冬至」は、陽気が一番弱くなる時であり、
この後からまた少しずつ多くなっていく日でもあります。
そのことから、昔の人はこの日を「太陽が新しく生まれる日」として、1年の始まりとしたわけです。


また、太陽と同じように月の満ち欠けも昔の人は重視していました。
満月から少しずつかけていき、新月には空から姿を消しますが、
また少しずつ復活していく様子は、太陽のそれとよく似ており、
「新月」は「冬至」に相当します。


この「冬至」と「新月」が一緒に来るのが「朔旦冬至」で、
太陽(陽気)と月(陰気)の誕生が重なるということで、とてもめでたい日であるとされ、
昔は宮廷でも宴が催されました。


しかし、気(エネルギー)の運行上は、陽気も陰気も最も弱い日であるわけで、
天からのエネルギーの享受が少なくなるのですから、
身体は冷えやすく、体力も落ちます。
外部からの外邪(冷えや風邪など)も侵入しやすくなりますから、
他の日よりも意識して身体を温め、
体力が落ちるのを防がなければなりません。


冬至にカボチャを食べ、ゆず湯に入るのは、
そういった邪気に打ち勝つ体力をつけ、強い香りで厄払いをし、
新しい年を元気に過ごそうとしたのです。


今は、昔のように食糧が不足しているわけではありませんから、
かぼちゃを食べる意味も、ゆず湯に入る意味も薄れていますが、
「冬至」という一つの節目に、儀式的でもそういうことをするのは、
自分の身体を意識するという意味で、とてもいいことだと思います。


実際、今、インフルエンザも冬風邪も大流行中。
昔に作られた暦ですが、現代でもしっかり生きていると思います。


予防接種や薬に頼るだけでなく、
昔の人の声に耳を傾け、お風呂にゆずを浮かべながら、
季節と身体の関係を考えてみませんか?

2014年12月12日金曜日

ウイルス性胃腸炎も流行中。

12月も半ばともなると、師走の慌ただしさを実感します。
それとともに、インフルエンザや下痢嘔吐、溶連菌に、アデノウイルスなど、
さまざまな冬風邪も活発に発症し始めました。


今朝も通勤中、電車から降りた途端、ホームで思いっきり嘔吐をしているお子さんと会いました。
一緒にいたお父さんは、オロオロ(そりゃ、するよね。)
とりあえず改札の駅員さんを呼びに行ったけれど、大丈夫だったかな?


駅や電車の中で具合の悪くなる方が、毎日たくさんいます。
師走の忙しさに、いつもよりもラッシュの人々のイライラども高まってるし、
その中での押し合いへし合いはかなり大変。
暖房はきついし、コートは脱げないし。
お子さんなら尚更ですよね。
少し具合が悪いな・・・というときは、
無理をしないで途中で降りて休むとか、ひとつ電車を遅らせることも必要だなぁと思います。


さて、下痢嘔吐をした場合、排出物からウイルスが飛び散りますから、
なるだけ素早くそれらを処理することが大切です。
排出した瞬間にウイルスが空気中に大量に飛沫してしまうからです。


例えば、トイレで下痢や嘔吐をしたり、それらを処理した場合、
しっかりふたを閉めて流さないと、トイレの中にウイルスが充満してしまい、
次に入った人たちが感染してしまいます。


下痢嘔吐風邪のウイルスは空気感染で、その感染力も強力なので、
2次3次の感染ルートをなるべく広げないようにすることが大切なのです。


そうはいっても、特に下痢嘔吐風邪は突然発症しますし、
潜伏期間も、知らないうちにウイルスをまき散らしています。
これは下痢嘔吐のウイルスに限ったことではなく、、
ウイルス全般にいえることですから、感染から身を守るためには自衛が大切です。


100%有効ではありませんが、
マスクは空気中に散乱したウイルスから身を守ることができます。
風邪もひいていないのにマスクをつけるのは煩わしいものですが、
今のところ一番簡単で効果があると思います。


そして、必要以上に人ごみには入らない。
手洗い、うがいはこまめに。
外で不用意にものを食べたりしない。


不特定の人たちが利用するトイレなどは、ウイルスが潜んでいる可能性が多いですから、
利用するときは特に注意が必要です。
自分が使うときは、流す前にふたをして。
(もしかしたら自分も保菌しているかもしれませんからね)


そして何よりも大切なのは、睡眠をしっかりとること。
疲労の蓄積は、そのまま免疫力の低下につながります。


また、体温の低さは、免疫力の低さに比例しています。
1℃違うと、免疫力は20%低下するといわれています。
ですから身体を冷やさないこと。


このふたつを気を付けるだけで、たとえ菌を身体に入れてしまっても、
発症を防げます。


空気中にたくさん飛び交うウイルスから身を守り、
楽しい年末年始を健やかに過ごしてくださいね。

2014年12月5日金曜日

風邪を引くということ

寒波襲来で、暖冬と言われていた今年の冬も急激に寒くなってきました。
寒さと同時に、さまざまな風邪がはやり始め、
インフルエンザも流行の兆しを見せています。


連日テレビではインフルエンザの予防に予防注射をと、報道していますが、
インフルエンザにかかる人は、予防接種をしてもかかるし、
予防接種を一度もやらなくても、かからない人はかかりません。
様々な情報が飛び交っていて、毎年この時期、
「打つべきか、打たざるべきか」迷う人も多いでしょう。
でも、病院やテレビなどの言われるままに選択するのではなく、
自分の体調や、体質などを踏まえ、自分の意志で選択してほしいと思います。


さて、インフルエンザにしても、冬風邪にしても、
風邪を引いている人と一緒にいても、
移る人と移らない人がいるのはなぜだと思いますか?
それは菌やウイルスに対して抵抗力があるかないかの違いともいえますが、
逆の見方をすれば、風邪を引くのは身体が疲れている証拠だとも言えます。


健康な人の身体は、刺激に対して柔軟に対応することができます。
たとえば、すれ違いざまに人とぶつかったとき、
筋肉の柔軟な伸縮でその衝撃を受け止めたり流したりすることができます。
しかし、使いすぎて疲れた筋肉は、こわばり伸縮がうまくできません。
すると、その衝撃を受け流すことも踏ん張ることもできずに転んでしまいます。


それと同じように、私たちは、身体の中も寒暖の差、乾湿、
菌やウイルスといった外部からの刺激に対して、普段は順応に対応しています。
しかし、身体を使いすぎて疲れていると、その刺激に対応できず、
その力に負けて不具合を起こしてしまいます。


身体を使えば、消耗するし、歪みも生じる。
それを日々の生活の中で、毎日解消できればいいのですが、
現代社会において、早寝早起き、規則正しい食事…というのはなかなか難しく、
日々の疲労は蓄積し、それをリセットしないまま溜めていくと、
身体はどんどん凝り固まり、
刺激を受けた時に取り返しのつかない事態を引き起こしかねません。


風邪はその前に、身体をリセットするための一つのサインなのです。


熱が出て、節々が痛くなり、おなかが痛くなって下痢をしたり、
のどが痛くなって鼻や咳が出たり。


それは身体の中に侵入したウイルスや菌と身体が戦っているのと同時に、
身体に溜まった「いらないもの」を吐き出すシステムでもあります。


ですから、熱が出たからと言って安易に解熱剤を飲んだり、
下痢止めを飲んだりすると、そのシステムも止めてしまうので、
せっかく身体がリセットしようとしているのを止めてしまうことになります。


また、仕事が忙しいからと言って、身体のサインを無視して休みを取らないと、
身体は今度はサインを出さなくなってしまいます。
熱や下痢などのサインは、「身体を休めれば治ります」とのサインでもあります。
風邪症状を感じなければ楽だと思うでしょうが、
それは「風邪を引かない」ということではなく、身体の警報機能がマヒしたということで、
とても危険なことです。


風邪を引いたら、身体をリセットする時期が来たのだと思い、
薬を多用して強引に直そうとせず、
上手に風邪が経過するようにしましょう。


特別なことは何もありません。
疲れた身体を休ませる。これだけです。
身体を冷やさず、消化の良い食事をし、しっかり睡眠をとる。
出るものは出し、身体の声に素直に従う。
当たり前のことですが、一番大切なことです。


子供が急激に成長するとき、知恵熱などがでますよね。
熱が出てびっくりするけれど、そのあとは成長がさらに伸びるものです。
それと同じで、風邪を上手に経過させれば、身体もすっきりできますよ。